星になったお客様

夜のお仕事

今年の5月中旬。ひとりのお客様が入院しました。

そのお客様は日頃から私がとてもお世話になっているお客様の親友で
お酒は飲めないけれど親友同士のおつきあいで何度もお店にも来て頂いた事があり
同伴やアフターも一緒させて頂いたことのある方でした。

病名は小細胞肺癌と結核。

2つある肺の片方は癌で真っ白で もう片方の肺にも進行してました。

ステージ4の末期癌です。

お見舞いに伺った時も「悪い冗談でしょ?」と聴きたくなるほど
顔色も良くて元気そうな様子でした。

しかし日に日に癌は進行し 一週間後の検査で脳にまで転移してる事が判明してからは
あっという間に症状が酷くなり…先月末他界しました。

享年57歳でした。

親友であるお客様と一緒にお通夜に参列しましたが
その時見た家族の辛そうな様子がなんとも言えなかった…。

会場を後にしてお客様と共に新地へ向かい同伴出勤で店まで送り届けて頂きました。

「今日はあいつの新しい出発の日やから」

そう言ってシャンパンを空け門出に乾杯しました。
お客様も私も涙が出ませんでした。

あんなに元気だったのに あっという間に逝ってしまって亡くなって実感が湧いてこないから。
ただ虚しい。
その一言しか出てこない。

ふと「死」の事を考えてみました。

やっぱり今の私には正直ピンと来ないのです。
寂しくない悲しくないと言う意味ではありませんが。
肉体はなくなっても その方の表情や声や会話の内容は思い出からなくなる事はありません。
何処か遠い場所へ行った。そんな感覚でしょうか。
今までのように会いたいと思った時に連絡したり気軽に会う事は出来ないけれど
いつでも思う事は出来てその思いは必ず届くと信じてる。

死んだ人は星になる。

その日は故人が生前好んで吸っていた煙草に火を点けて
その火が消えないように見守りながらお客様と語り合いました。
一度だけお客様のすぐ側の灯りが一瞬消えてまたついた時

「今 この場所に一緒にいるんだな」

確かにそう感じたのでした。

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